ボートレースのスタート前におこなわれる待機行動。はじめてボートレースを見た方にとっては、一体何がおこなわれているのかわからないのはないでしょうか。また時にはレース後待機行動違反のアナウンスがあっても、どういう現象なのかわからないことも。
こちらの記事では、待機行動のルールや違反について初心者の方にもわかりやすく解説をしていきます。待機行動について詳しく知りたいという方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
待機行動とは
待機行動とは「ピットアウトした瞬間からスタートを切る瞬間」までを指します。時間にすると1分40秒から1分50秒ほどですね。
ボートレースではどの艇がどのコースに入ってもいいことになっています。ほとんどの選手はインコースを取りたいと考えているので、待機行動の時間にインコースに入るための駆け引きをします。しかしこの待機行動には一定のルールが設けられているので、そのルールに違反すると待機行動違反となり選手にペナルティが科せられます。
待機行動で選手は何をしているの?
待機行動の最中、選手はコースの取り合いをしています。先述のようにボートレースではインコースが有利な競技です。そのためインコースの選手は他の選手にインコースを譲らないように動き、アウトコースの選手は隙あらばインコースを狙うというわけです。
かつては待機行動に関するルールが明確ではなく、強引な行動をする選手もいました。しかし現在のルールでは待機行動についてのルールが厳しくなり、枠なりの進入になることがほとんどです。それでも隙を伺ってインコースをとろうとするのは、ボートレーサーとしてできることをやっている結果と言えます。
待機行動に関するルール改定
待機行動は観客にとってもわかりにくいことが多く、ルール改定がおこなわれたこともあります。ルール改定以前は6コースからでも強引にインコースをとってくる選手がいました。そうなると元々有利だった1コースを予想していた観客の気持ちになると、怒りたくなるのも無理はありません。
そうした事態を防ぐため待機行動に関するルール改定や、スタート展示などのルールも加わりました。そのため2009年のルール改定以降は待機行動が舟券に及ぼす影響はかなり少なくなりました。
待機行動違反になる行為
待機行動違反になる行為には、以下のようなものがあります。
項目 | 内容 |
適正な間隔 | ・小回り防止ブイから2マークまでは他艇と2挺身以上の間隔を保つ ※ボートレース江戸川のみは河川の水流の関係で10m以上の間隔 ・スタート時は横の艇と3挺身以上の間隔を空ける |
転舵 | ・艇の方角を変える転舵は2回まで |
ターンマーク・ネトロンへの接触禁止 | ・ターンマークやネトロンなどに接触してはいけない |
モーターの停止 | ・故意にエンストなどをさせて、モーターを停止させてはいけない |
割り込み | ・他の艇が150m見透し線に達したあとでは、内側に進入してはいけない |
艇同士の接触 | ・失速や加速による艇の追突により、他の艇に支障を与えてはいけない |
進路妨害 | ・接近している他の艇へ向けて転舵し、その進路に支障を与えてはいけない |
逆航走 | ・ボートの先端をスタートラインに向けたあとは、再びスタートラインと反対方向へ航走してはいけない |
観客の目線から見ていると適正な間隔や転舵に関する待機行動違反は、少しわかりにくいですね。ボートレース初心者のうちは、そんなルールがあるんだくらいの感覚の方がレースを楽しめるかもしれません。
待機行動違反になったときの罰則
待機行動違反をした選手には、7点の減点が科されます(転覆、落水、不完走の減点は5点)。例えば一般戦の普通予選の一着が10点なので、待機行動違反があれば7点減点され3点にされてしまいます。
ボートレーサーを続けられる最低限の点数は平均で3.5点以上ですので、待機行動違反が多いと選手生命にも影響してきてしまいます。また待機行動も含め、一節内で事故や違反が3回あると即日帰郷という重い懲罰を課される事になります。そのため選手は待機行動違反にならないよう、細心の注意を払わなければなりません。
待機行動違反になったときの舟券の取り扱い
選手が待機行動違反になったとしても、舟券への影響はありません。例えば1-4-5で決着したレースでレース後、1と5の選手に待機行動違反があったとします。それでも舟券は1-4-5で確定するので、観客への影響はないようになっています。
待機行動のルールができたことで、簡単にインコースに入ることができなくなり、観客にとっては予想がしやすくなりました。観客の予想に違反した選手にはペナルティを与える。そうした意味合いが待機行動には込められているのではないでしょうか。
待機行動がわかるとボートレースがより楽しくなる
ここまで待機行動について解説をしてきました。実際待機行動違反があったとしても、舟券への影響はありません。そのため詳しく覚えなくてもボートレースは楽しめます。
しかし待機行動について詳しくなると、ボートレースの奥深さに気づきます。選手はどのように駆け引きをするのか、この選手は待機行動違反ギリギリで勝負する選手なんだななど、ボートレースがより楽しくなります。みなさんも待機行動について詳しくなって、ボートレースをより楽しんでいきましょう!