この記事では「そもそもチルトとは何か?」「チルトがレースにどういった影響を与えるのか?」をわかりやすく解説しています。
また、より深堀りして「角度による影響」や「レース場ごとの違い」についても触れていきますので、気になっている方は必見です!
実は、一度理解をしてしまえばチルトは決して難しくありません。この記事を読めば、チルトの大枠を知ることができますよ。
・もっとボートレースの知識を広げたい
・少しでも舟券の的中率を上げたい
・レースを今よりもっと楽しみたい
チルトとは”ボートにモーターを取り付ける際の角度”のこと
そもそもチルトとは”ボートにモーターを取り付ける際の角度”のことで、-0.5度〜3.0度までを0.5度刻みの最大8段階から選ぶことができます(レース場によって選べる角度が変化)。チルトの角度を調整する際は「チルトアジャスター」と呼ばれる部品を使います。
角度による影響
ボートレーサーは戦術やボートレース場に合わせてチルトの角度を変化させ、レースに望みます。角度の変化は水との抵抗に影響し、ボートの操作性にも大きな差を生むのです。
具体的には…
・チルトの角度を上げると伸び足(加速)が良くなる
・チルトの角度を下げると出足(スタート)が良くなる
と言われています。場面や状況に応じた適切な角度調整は、試合を有利に進めるうえで必要不可欠といえるでしょう。
ここからは、さらにチルトへの理解を深められるよう、「角度による違い」や「現在の主流」について紹介します。
角度による違い
チルトの角度を決めると、同時にボートを進めるためのプロペラの角度も決まります。プロペラは構造的にモーターの先につけられる部品です。
チルト角度が0度とは、プロペラがモーターに対して垂直に取り付けられている状態を指します。そこで「角度を下げた場合」「角度を上げた場合」でそれぞれボートにどのような影響を及ぼすのかをみていきましょう。
角度を下げると”安定感”が増す
チルトの角度を下げる(-0.5度にする)とプロペラが下に向き、舳先(ボートの先端)が水面につくことで抵抗が強まります。その結果ボートの安定感が増し、ターンがしやすくなったりレース中の転覆を防ぐことができます。
特に悪天候や強風などで水面が荒れているレースでは、ボートの安定感を得るためにチルトを下げるボートレーサーも多いとされます(かなり荒れている場合は安定板を装着します)。しかし安定感がでる一方で、直線で伸びにくい点はデメリットとなるため注意が必要です。
近年のレースでは、スピードを抑えてでもターンを重視するボートレーサーが多く、チルトの角度を下げてインコースに位置した方が、勝率が高くなる傾向があります。
角度を上げると”スピード”が増す
チルトの角度を上げる(0度以上にする)とプロペラは上を向き、それに比例してボートの先端も上を向きます。ボートの先端が上を向けば水の抵抗が弱まり、直線でスピードが出しやすくなるのです。
追い上げのレース展開では角度を上げたほうが有利になるものの、その反面ボートが安定せずターン時の転覆リスクが高まります。アウトコースからスピード重視で追い上げを得意とするレーサー(例えばアウト屋)などは、角度を上げる傾向があるといえるでしょう。
現在の主流は「-0.5度」
ここまで、角度の違いについて解説をしてきましたが、現在主流となっているチルトの角度としては、圧倒的に「-0.5度」です。現在では殆どのレーサーがレース場問わず、この「-0.5度」を選択しています。
この角度に設定するメリットは…
・スタートの伸びの良さ
・ターンの安定感
が挙げられます。スタートは試合を左右する重要な要素であり、チルトの角度を-0.5度とすればスタートダッシュでスピードに乗りやすくなります。
また、トップスピードのままターンを行う技として多くのトップレーサーが習得している技として「全速ターン」があります。−0.5度にすることでボートが安定して全速ターンもしやすくなるというわけです。
特に実力が拮抗している上位グレードのレースでは、低速からの加速力を左右する「出足」やターンを左右する「回り足」が良いほうがレースを有利に運ぶとされます。そのいずれも実現可能なチルトの角度が「-0.5度」というわけです。
逆にデメリットとしては…
・トップスピードが出にくい
というものがあります。「直線での”抜き”」や「並行して走っている際の駆け引き」においてはやや不利となります。
レース場による違い
チルトはレース場によって角度の制限があります。ターンがしにくい狭いボートレース場ではチルト上限が厳しく、安全面を考慮していることが多いです。全国のボートレース場ごとに特徴を理解し、舟券購入の際の参考にしてください。
最大チルト角度+0.5度【ボートレース戸田】
ボートレース戸田は日本で最も狭いボートレース場で、安全面を考えて最大チルト角度は+0.5度に制限されています。チルトを上げ過ぎるとボートは安定性を失いやすく、狭いボートレース場では対岸にぶつかるリスクが大きくなるためです。
最大チルト角度+1.0度【ボートレース桐生】
ボートレース桐生は全体的に平均的な作りで、その最大チルト角度も平均的な+1.0度です。他のボートレース場ではインコースが勝ちやすい傾向にありますが、春と冬に強い風が吹くという特徴を持つボートレース桐生では、コースのやや外側でも勝ちやすいという傾向があります。
最大チルト角度+1.5度【ボートレースびわこ、ボートレース住之江、ボートレース若松】
・ボートレースびわこの最大チルト角度は+1.5度で、インコースの勝率が低いことが特徴です。波のうねりが発生しやすく風の影響が大きいことから、アウトコースの勝率が高くなっています。
・ボートレース住之江も最大チルト角度は+1.5度で、ボートレースの聖地とも言われる場所です。季節によって風向きが変わりやすく第2ターンマーク付近は走りにくいという特徴があります。
・ボートレース若松も最大チルト角度は+1.5度で、風や時間帯などで水面のコンディションが変わりやすいのが特徴です。難水面で走りにくいことから、地元ボートレーサーの勝率が高い傾向があります。
最大チルト角度+2.0度【ボートレース江戸川、ボートレース徳山】
・ボートレース江戸川の最大チルト角度は+2.0度で、複雑な波が起こりやすく日本でもトップクラスに難しい水面とされています。競技歴が長いベテランのボートレーサーでも苦労するほどのボートレース場です。
・ボートレース徳山も最大チルト角度は+2.0度で、時刻により水位に差が現れるのが特徴。慣れていないために、スタートで遅れるボートレーサーも多くいます。
最大チルト角度は+3.0度【その他ボートレース場】
その他15のボートレース場では最大チルト角度は+3.0度です。
チルト0度以上も無視できない
どのレース場でも9割以上のレーサーはチルト角度を-0.5度に設定しています。しかし、だからこそ”-0.5度以外の角度にしている選手には注意が必要”なのです!
「レーサーがなぜ0度や0.5度にするのか?」という理由を考えてみるとわかりやすいと思います。その理由は、そのレーサーが直線で伸びることを想定して「まくり」を狙っているからです(もちろん理由は様々ですが、その可能性は高いです)。また、特にアウトコースのレーサーがそう考えるケースが特に多いです。
アウトコースは元々不利なコースなのでオッズが高くなることが多く、狙いどおりにまくりが決まればレースが荒れることになります。
そのため、0度以上に設定しているレーサーがアウトコースにいる場合にはある程度の注意が必要というわけですね。該当レーサーの気配が気になるときには、2着や3着に入れておくという選択も頭に入れておいたほうがいいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
チルトがレースに大きな影響を与えていることがおわかりになったかと思います。
まとめると”チルト0度以上のレーサーが舟券に絡むかをいかに判断できるか”が非常に重要なポイントと言えるでしょう。とは言うものの、それが分かったら苦労はしませんよね。これは、経験を何年も積んで感覚を養っていくほか道はありません。
しかし、初心者だからといってチルトを舟券攻略から完全に外してしまってはいけません。予想には重要な要素であることは間違いないので、トライアンドエラーを繰り返しながら知識を蓄えていきましょう。
そうすることで、きっと見えてくるものがあるはずです。